Volumio登場前後で、RaspberryPiからI2Sが直接出てこない頃で、Amanero製USBDDCを使ってタンデム基板鳴らしてた頃のお話です。
新製品紹介記事更新したついでに、加筆、修正してこの原稿もUPしてみます。
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USBケーブルの話など書いてみたいと思います。
面白いデータ取れましたのでご紹介します。
STEREO SOUND系の雑誌、Hivi誌とかDigiFi誌とかのお試しUSBケーブル4本セットって、ご存じな方多いと思います。DSDな曲が入ったDVDとか、USB_DACが付録で付いてくるとかの雑誌です。
4種類4本¥3650-と手ごろな価格で、1本¥10000!!なケーブルの短い奴が、一時期在庫切れになりましたが、
タンデム基板には入力にアイソレータ挟んでるから「デジタルデータの伝送には、ケーブルごとき変えたところでなんの影響も無かろう」と思ってたのです。が、、、、、、違いました。
USBケーブル変えると音が変わるって実際に起こるのですね。
ケーブルセットには、試聴屋さんのコメントが付いていて、それぞれ個性があるみたいです。
私の再生環境では、その違いは聴いても判別できませんでした。
上等なスーパツイータ繋げば判別できたのかもしれません。
30年前のダイヤトーンP610使ってるものですから。
でもね、私は半導体計測屋です。半導体計測の分野では、ミックスドシグナルはタイムドメインで測定した波形を、周波数ドメインに変換して計測します。
手持ちのUSBオシロで測定、計測したら、ちゃんと違いが確認できました。
再生器はRaspberyPi。OSはRaspyFi。
RaspberryPi電源はPranexのUSBスイッチング5V電源。マイクロUSBケーブルで給電
JEITAディスクの1kHzテストシグナルを、WAVにリッピングして44.1kHzPCMでCombo384に入力。
SRC4192Aで、176.4kHzPCMにアップサンプリング。
マスタクロックをNB3N2302DGで45MHzに2逓倍。
マスタは2個載せデュアルモノ。スレーブは1個載せでDSD512再生。
差動合成はNJM2114 カットオフ50kHz。
タンデム基板電源はトロイダルトランスの自作リニア電源。
DC3.3、5、+12、-12は共通のトランス。
PLL電源も1242電源もインターフェース電源も全て共通の3.3Vで、フェライトビーズ介しての分割のみ。
赤がレフト、青がライト。LRで微妙に違うのは、測定誤差と思ってください。
計測帯域は50kHz。ピークホールド表示。
純粋に、USBケーブル変えただけで測ってます。
Zonotone(JAPAN)
SUPRA(SWEDEN)
AIM(JAPAN)
WIRE WORLD(USA)
以前から手元にあった1mのケーブル(USB2.0対応品)何かのPCアクセサリ付属品
なにが違うって、結局のところスプリアスノイズの載り方が違うんですね。
要は、USB出力再生器から出るノイズが、Combo384とタンデム基板マスターとスレーブを通じて差動合成+LPFに到達するかしないかって違いです。
441,96,192再生の差でも、スプリアスの載り方が全然違います。喰わせるサンプリングレートが違えば、違うのは当たり前なのですが、SRC4192A使って、同じ192PCMにアップサンプリングして、DSD512再生にしても、スプリアスの載り方違います。
Si8660アイソレータでGND分離して、USBのスイッチング電源と、トロイダルトランスリニア電源で分割してても影響受けます。
アイソレータが効いてないのはガッカリというか、身も蓋も無いと言うか、、、、
USBケーブル毎に、シールドの違い、内部構造の違いがある訳です。
コネクタの接触抵抗が違うかもしれない。
ケーブルのシミュレーションモデルを考えたならば、アナログ的にはLCRの塊として考えなければなりません。LCRの定数が違えば信号伝達関数も変わるのは当然の結果であり、通過するノイズ、遮断されるノイズが違ってきます。
USBデジタルケーブルの良し悪しは、スプリアスノイズが伝わるか、伝わらないかって言っちゃっていいんじゃなかろうか。
下に表示された数字見ると、THD、THD+NはZonotoneが最良です。
次点が何かの付属品USBケーブル(笑)。
全体のノイズフロアはZonotoneが、最も低めになってはいます。
で、21KHz~22KHzのスプリアスが、SUPRAだけ少ないです。
THD計算って8次高調波まで見てるのですが、スプリアスが2kHz,3kHz丁度から少しでもずれれば計算上は良く出るんですね。
自分の仕事を否定する事になっちゃうけど、カタログスペックのTHDとか、THD+Nってあてにならないなぁと実感しました。
計算結果が規定範囲に入っていればPASS、外れていればFAILなのが半導体計測のやり方です。THD平均値が0.3%以下なのはZonotoneと付属品とWIRE WORLDです。
THDの数字だけ見ると、Zonotone最高って思っちゃいます。SNR平均値は全部同じ値だし。
でも、パッと見良さそうに見えるのはSUPRAです。全帯域でスプリアス少な目に見えます。
DigiFi誌の試聴屋さん曰く、SUPRA「雑味がないなぁ」だそうで、見事に判別してます。素晴らしいお仕事されてますねぇ。今後はSUPRAメインで使うことにします。
SFDRがカタログに載らない理由も何となく判りました。THDが良くてもSFDRが悪くちゃ載せられないですもの。
SFDR、スプリアスフリーダイナミックレンジとは、基本波成分と、測定レンジ内の最大のスプリアス成分との比のことです。何ヘルツの成分との比になるかは測定結果によって変わります。
今回の測定では26kHzか、42kHzのスプリアスとの比になります。
YHPの技術者が書いたミックスドシグナルテスタのアプリケーションノートには、測定評価項目としてSFDRも測りましょうって書いてるけど、仕事ではSFDR計測のプログラムって全くやったこと無いです。
CODECデバイスや、CDプレーヤとかのスペック表にはTHD、あるいはTHD+NとSNRが書いてあってもSFDRは見たことありません。重要な指標なはずなのに、使われてないのは勿体無いというか、ずるいなぁというか。
チップメーカさんが、我々計測屋に「やらなくていいよ」というのだから、チップを使うオーディオ機器メーカさんも、「やらなくていいよ」と言ってるのでしょう。きっと、たぶん。
参考として、スイッチング電源繋いだプレクスターのプレミアム2のアナログ出力です。
いわゆる神ドライブって奴です。
これの数値が悪いのは、裏側のアナログコネクタ直接プローブしてるので、出力振幅小さいからです。タンデム基板よりスプリアス少ないです。身も蓋もないです。プレクの設計って優秀です。かなり良い音で鳴ります。
神ドライブの称号は伊達じゃありません。デジタルの読書性能だけでなく、アナログ再生音も優秀です。外部DACなど必用としない超高音質性能。でもフルエンシではありません。
スプリアスノイズは「RaspberyPiから盛大に出てる」ってことになるみたいです。
スイッチングなUSB電源なんて、捨てろって事でしょう。
御意見、ご感想、ご質問 等、コメントいただけましたら幸いです。
これは1KHzの基本周波数の信号を50KHzまでスペクトラム測定したものということでいいでしょうか。基本周波数が1KHzなら高調波も1KHz毎に出てくると思うのですが、時々見えているのは高調波ではなくスプリアスノイズというものなんですね。21~22KHzのスプリアスノイズの少ないSUPRAが優秀というのはどういう理由なのでしょう?
返信削除それぞれスペックの算出方法は、
削除SNR計測は、高調波を除外したノイズ成分の合成(足し算)と基本波の比
THD+N、SND計測は、高調波も含むノイズ成分の合成と基本波の比
THD計測は、高調波以外のノイズは除外した、高調波の合成と基本波の比
SFDR計測は、高調波も含むノイズの中で一番大きい奴と基本波の比
と定義してます。
でも、高調波成分の計算は、5次までとか、8次までとかで切っちゃうから、
もっと高い領域で出ても「計算から除外されるかもしれない」のが問題点。
しかもスペック表には「N次高調波まで計算」とは書いてない。
SFDR計測だとピークノイズ成分が計算されるから、除外される事が無いです。
今回の計測ではTHDの数字を見るとZonoTone最高ですが、通常計測しないSFDRはSUPRAの方が良いです。
SFDRが載らないカタログスペックは宛てにならないと言えるかと思います。
SUPRAが優秀なのは、可聴帯域限界付近のスプリアスが少ないから「雑味」が聴こえてこないので優秀という事なのかと。
PS.フルエンシプレーヤにAppleリモコン使える様になりました。
これから外部クロック&リモコン基板のレイアウトやります。
リリースはまだ先になりますが、お楽しみに。