2017年3月23日木曜日

 2014年5月頃、計測してアップロードしようと原稿書いたけど、USBケーブルの事書いても、今更どうなの?でボツにしてた記事です。
 Volumio登場前後で、RaspberryPiからI2Sが直接出てこない頃で、Amanero製USBDDCを使ってタンデム基板鳴らしてた頃のお話です。
 新製品紹介記事更新したついでに、加筆、修正してこの原稿もUPしてみます。
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 USBケーブルの話など書いてみたいと思います。
 面白いデータ取れましたのでご紹介します。

 STEREO SOUND系の雑誌、Hivi誌とかDigiFi誌とかのお試しUSBケーブル4本セットって、ご存じな方多いと思います。DSDな曲が入ったDVDとか、USB_DACが付録で付いてくるとかの雑誌です。
 4種類4本¥3650-と手ごろな価格で、1本¥10000!!なケーブルの短い奴が、一時期在庫切れになりましたが、今でも買えます。

 タンデム基板には入力にアイソレータ挟んでるから「デジタルデータの伝送には、ケーブルごとき変えたところでなんの影響も無かろう」と思ってたのです。が、、、、、、違いました。

 USBケーブル変えると音が変わるって実際に起こるのですね。
 ケーブルセットには、試聴屋さんのコメントが付いていて、それぞれ個性があるみたいです。
 私の再生環境では、その違いは聴いても判別できませんでした。
 上等なスーパツイータ繋げば判別できたのかもしれません。
 30年前のダイヤトーンP610使ってるものですから。

 でもね、私は半導体計測屋です。半導体計測の分野では、ミックスドシグナルはタイムドメインで測定した波形を、周波数ドメインに変換して計測します。
 手持ちのUSBオシロで測定、計測したら、ちゃんと違いが確認できました。
 
 再生器はRaspberyPi。OSはRaspyFi。
 RaspberryPi電源はPranexのUSBスイッチング5V電源。マイクロUSBケーブルで給電

 JEITAディスクの1kHzテストシグナルを、WAVにリッピングして44.1kHzPCMでCombo384に入力。

 SRC4192Aで、176.4kHzPCMにアップサンプリング。

 マスタクロックをNB3N2302DGで45MHzに2逓倍。

 マスタは2個載せデュアルモノ。スレーブは1個載せでDSD512再生。

 差動合成はNJM2114 カットオフ50kHz。

 タンデム基板電源はトロイダルトランスの自作リニア電源。
 DC3.3、5、+12、-12は共通のトランス。
 PLL電源も1242電源もインターフェース電源も全て共通の3.3Vで、フェライトビーズ介しての分割のみ。

 赤がレフト、青がライト。LRで微妙に違うのは、測定誤差と思ってください。
 計測帯域は50kHz。ピークホールド表示。
 純粋に、USBケーブル変えただけで測ってます。

Zonotone(JAPAN)


SUPRA(SWEDEN)


AIM(JAPAN)


WIRE WORLD(USA)


以前から手元にあった1mのケーブル(USB2.0対応品)何かのPCアクセサリ付属品


 なにが違うって、結局のところスプリアスノイズの載り方が違うんですね。

 要は、USB出力再生器から出るノイズが、Combo384とタンデム基板マスターとスレーブを通じて差動合成+LPFに到達するかしないかって違いです。

 441,96,192再生の差でも、スプリアスの載り方が全然違います。喰わせるサンプリングレートが違えば、違うのは当たり前なのですが、SRC4192A使って、同じ192PCMにアップサンプリングして、DSD512再生にしても、スプリアスの載り方違います。
 Si8660アイソレータでGND分離して、USBのスイッチング電源と、トロイダルトランスリニア電源で分割してても影響受けます。
 アイソレータが効いてないのはガッカリというか、身も蓋も無いと言うか、、、、

 USBケーブル毎に、シールドの違い、内部構造の違いがある訳です。
 コネクタの接触抵抗が違うかもしれない。
 ケーブルのシミュレーションモデルを考えたならば、アナログ的にはLCRの塊として考えなければなりません。LCRの定数が違えば信号伝達関数も変わるのは当然の結果であり、通過するノイズ、遮断されるノイズが違ってきます。

 USBデジタルケーブルの良し悪しは、スプリアスノイズが伝わるか、伝わらないかって言っちゃっていいんじゃなかろうか。

 下に表示された数字見ると、THD、THD+NはZonotoneが最良です。
 次点が何かの付属品USBケーブル(笑)。
 全体のノイズフロアはZonotoneが、最も低めになってはいます。
 で、21KHz~22KHzのスプリアスが、SUPRAだけ少ないです。

 THD計算って8次高調波まで見てるのですが、スプリアスが2kHz,3kHz丁度から少しでもずれれば計算上は良く出るんですね。
 自分の仕事を否定する事になっちゃうけど、カタログスペックのTHDとか、THD+Nってあてにならないなぁと実感しました。
 計算結果が規定範囲に入っていればPASS、外れていればFAILなのが半導体計測のやり方です。THD平均値が0.3%以下なのはZonotoneと付属品とWIRE WORLDです。
 THDの数字だけ見ると、Zonotone最高って思っちゃいます。SNR平均値は全部同じ値だし。

 でも、パッと見良さそうに見えるのはSUPRAです。全帯域でスプリアス少な目に見えます。
 DigiFi誌の試聴屋さん曰く、SUPRA「雑味がないなぁ」だそうで、見事に判別してます。素晴らしいお仕事されてますねぇ。今後はSUPRAメインで使うことにします。

 SFDRがカタログに載らない理由も何となく判りました。THDが良くてもSFDRが悪くちゃ載せられないですもの。
 SFDR、スプリアスフリーダイナミックレンジとは、基本波成分と、測定レンジ内の最大のスプリアス成分との比のことです。何ヘルツの成分との比になるかは測定結果によって変わります。
 今回の測定では26kHzか、42kHzのスプリアスとの比になります。
 YHPの技術者が書いたミックスドシグナルテスタのアプリケーションノートには、測定評価項目としてSFDRも測りましょうって書いてるけど、仕事ではSFDR計測のプログラムって全くやったこと無いです。
 CODECデバイスや、CDプレーヤとかのスペック表にはTHD、あるいはTHD+NとSNRが書いてあってもSFDRは見たことありません。重要な指標なはずなのに、使われてないのは勿体無いというか、ずるいなぁというか。
 チップメーカさんが、我々計測屋に「やらなくていいよ」というのだから、チップを使うオーディオ機器メーカさんも、「やらなくていいよ」と言ってるのでしょう。きっと、たぶん。

参考として、スイッチング電源繋いだプレクスターのプレミアム2のアナログ出力です。
いわゆる神ドライブって奴です。
これの数値が悪いのは、裏側のアナログコネクタ直接プローブしてるので、出力振幅小さいからです。タンデム基板よりスプリアス少ないです。身も蓋もないです。プレクの設計って優秀です。かなり良い音で鳴ります。
 神ドライブの称号は伊達じゃありません。デジタルの読書性能だけでなく、アナログ再生音も優秀です。外部DACなど必用としない超高音質性能。でもフルエンシではありません。

 スプリアスノイズは「RaspberyPiから盛大に出てる」ってことになるみたいです。
 スイッチングなUSB電源なんて、捨てろって事でしょう。

御意見、ご感想、ご質問 等、コメントいただけましたら幸いです。

2017年3月22日水曜日

 フルエンシーオーバーサンプリングWAV/FLACプレーヤの構成図を公開します。(クリックで拡大します)

 PIC32-EMZ64のMPU内部PLLで生成したMCLKは低品質なので、外部クロック基板から入力します。ついでにHDMI-I2S端子も付けることにしました。
 USBメモリとSD/SDHCカードは排他利用であり、どちらか一方を使います。
 USB端子はハブも繋がるので、USBメモリカードアダプタ挟めばフルサイズSDHCも、メモリスティックとかも使えます。
 取りあえずの電源はUSB電源でOKですが、高品質なリニア電源繋ぐならピンヘッダ立てるランドが用意してあります。

 繋げるDACはFN1242Aでなくとも、フルエンシな音にアップサンプリングされて再生します。
 44.1KHzで記録されたホワイトノイズを8Xにアップサンプリングして再生すると、FN1242Aマニュアル 9ページのフィルタ特性が、見事に再現されます。
この図では、横軸1が44.1kHz、2が88.2kHzになります。
 20kHz付近でー6dB落ちした、生産当時は世間に受け入れられなかった特性ですね。
 この特性な再生音が、ESS9018K2Mといったフルエンシとは無縁なDACから出て来るから面白いモノです。
 ESS9018K2Mは8Xにアップして、PCM352.8kHzで動作させた場合にこうなります。
 
 ブログのタイトル通り今更なのかもしれませんが、FN1242Aが大好きな皆様ならば、大歓迎なサウンドと言えます。

 



2017年3月1日水曜日

 ご無沙汰しております。2年ぶりの更新です。

 フルエンシー8Xオーバーサンプリング ノンFIR WAV/FLACプレーヤー作りました。所謂シリコンオーディオプレーヤであり、基板上のボタンで再生操作するので、ネットワークに接続とかは有りません。

 RasPiのVolumioでタンデム基板鳴らしてましたが、MPDのFIR入った192アップサンプリングでDSD512を聴いていた訳です。

 この音は大迫力ではあるのですが、やはり物足りない。
 嫌気がさしたので、FIR無しなフルエンシー補完でオーバーサンプリングな再生機を造って音を出してみました。
 これが大成功!
 ホワイトノイズをMPDでアップサンプリング再生すると、21kHzでバッサリ切れてましたが、44kHzまでなだらかにだら下がりな特性が得られました。
 これがフルエンシー補完だって感じです。

 PCM384の解像度になると、DSD512とはまた違った迫力で迫ってきますね。8Xで動かせて本当に良かったです。

 タンデム基板でDSD512を聴くには、「ラズパイと逓倍基板をお使いください」
 「MPDの設定で192にアップサンプリングしてください」としていましたが、
 「今までのはごめんなさい。本当のDSD512はこれです。」と言える再生機ができました。ラズパイとamaneroを、本フルエンシープレーヤに取り替えてください。

 USBメモリ、マイクロSDHCカード、両方にFAT32フォーマットで対応します。
 対応ビット数は、WAV 16,24,32ビット。 FLAC 16,24ビット(libFLAC1.31)。

 WAV 44.1、88.2、176.4を、8倍、4倍、2倍の352.8kHzに。
 WAV 48、96、192を8倍、4倍、2倍の384kHzにオーバーサンプリングしてIISを出力します。
 FLACは、低圧縮変換ファイルでは2倍か4倍か8倍に。高圧縮では2倍にオーバーサンプリングします。ブロックサイズが4608だと等倍です。FLAC変換オプションで、-2以下が低圧縮、-3以上が高圧縮です。
 -b 1024なオプション付けてブロックサイズを1024でFLAC生成すると、8倍まで対応します。
 44.1は88.2(高圧縮)か176.4(低圧縮)。
 88.2は176.4(高圧縮)か352.8(低圧縮)。
 176.4は圧縮モード関係なく2倍の352.8kHz。48k系も同様です。

 USBメモリ、マイクロSDHCカード内の、最大で512曲を登録し、再生します。
 一つのディレクトリ内に最大64ディレクトリ、一つのディレクトリ内に最大255曲置けます。WAV,FLAC混在で構いません。ルートパスには64以上のディレクトリは置けません。
 8.3のショートファイル名も、それ以上のロングファイル名も、数字付き8.3ショートに変換されて扱われます。半角スペースは大丈夫です。全角漢字やカナは避けた方がいいです。
 /ジャンル名/アーティスト名/アルバム名/00_XXXXXXXXX.wav
な感じで階層管理でOKです。順序はカード上に配置した順に再生なので、単純にディレクトリコピーするとWindowsは名前順にコピーしないので、再生順はバラバラになります。
 ファイル並べ替えソフト(keyDESort等)をご使用ください。

 MP3非対応なのは、売ろうとするとMP3特許のライセンス費用が必要だからです。

 マスタクロックの出力モードは3通り選択できます。
 45/48な推奨モード。本モードでは、タンデム基板直結でDSD512を再生できます。
 22/24なamanero互換モード。本モードでは、最大192kHzの出力。
 90/98なチャレンジャーモード。ES90XXなら、このマスタクロックを受け付けます。

 倍率も3通り選択できます。
 モード0。フルエンシー補完全くしません。記録された通りの周波数で再生します。
 モード1。デフォルト。最大で4倍の192kHzまでオーバーサンプリングします。
 モード2。最大で8倍の384kHzまでオーバーサンプリングします。
 90/98マスタクロックで、384kHzをFN1242Aに突っ込めば、DSD1024が出るのですが、、、タンデム基板ではムリでした。ノイズが載ってしまいます。

 タンデム基板に45/48MHzで384kHzではDSD512までなので、最大192でも充分か、とも思いましたが、モード2をデフォルトとしましたので、352.8/384で再生されます。

 タンデム基板に繋がり易いように、FS0,1,2も出ます。周波数インジケータLED回路とかに繋いでいただいても便利です。

 フルエンシー補完はフロート32精度で内部計算処理され、出力ビット数が増加します。
補完することで、自然に生じる増加ビットなので、あえて丸めたりはしていません。
 ディザリングと言う、ホワイトノイズを混ぜてビット数減らす処理の事ですが、せっかく増えたビット数減らしちゃ勿体無いと判断しました。
 8倍時は16→19、24→27、4倍時は16→18、24→26、2倍時は16→17、24→25ビット
 64FSなBitCLKで送出されますので、FN1242Aタンデム基板ではなく、32ビット受けできるDACじゃないと勿体無いかもしれません。

 基板入荷次第、頒布開始予定です。
 ご質問はお気軽にコメント書いてください。